ここでは第一種電気工事士試験に特化した対策をご紹介します。
始めに断っておきますが、学科試験の対象は電験三種を取得済、または取得予定の方を対象としています。
技能試験については電気施工の初心者向けです。
管理人が『2022年度に受験するなら』と言う目線で書いていきます。
この記事を読んで欲しい人
- 第一種電気工事士の筆記試験または技能試験を受ける人
- 電験三種の取得まで視野に入れている人
- 筆記試験をどのテキストで学習したらよいか分からない人
- 技能試験をどの工具で練習すれば良いかを知りたい人
- 工具や電線・器具を買い足すか迷っている人
目次
筆記試験
おススメの参考書は人それぞれ学習してきた背景で異なります。
あと、なるべく最新の情報を入手してください。
いつまでも古い情報をおススメしているサイトもあります。
なぜなら試験の傾向は変わっていくからです。
このページも常に新しい情報を取り入れて更新するようアンテナを張ります。
管理人の背景
私の2017~2018年の電気系試験の受験歴は以下の通りです。
2017年9月 電験3種 4科目(法規以外取得)
2017年10月 第二種電気工事士 1次、12月 2次(合格)
2018年8月 エネルギー管理士 4科目(合格)
2018年9月 電験3種 法規取得(合格)
2018年10月 第一種電気工事士 1次、12月 2次(合格)
電験三種を合格した2018年と同じ年に第一種電気工事士(以下、一種電工)の学科および実技試験を受験しました。
電気の回路計算やその他の計算を始め、電験三種の知識は浅くですが一通り理解している状態です。
特に2018年は電験三種の残り科目が法規だけでした。
法規科目と電気工事士との出題範囲の共通点もいくつかあったので、電気工事士の筆記試験にかなり有利に働きました。
電験三種との併願
電験取得も視野に入れていれば、一種電工と電験三種を同年度に受験するのも意外な効果があります。
そちらは以下で説明しています。
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電験三種と電気工事士を同年に受験してみよう!意外な共通点と効果とは!
試験の申込時に電験の免状を取得していれば学科試験は免除されます。
念のためですが、今回の記事はムリに筆記試験を推奨するものではありません。
ご自身のスケジュールと相談して無理のない挑戦をしましょう。
試験の情報
試験日
筆記試験は例年として10月上旬~中旬にあります。
ちなみに2022年度の試験は
筆記試験
10月2日(日)
にあります。
試験形式
試験形式としては
- 問題数: 50問 配点: 1問2点の100点満点
- 合格点: 60点(100点満点中)
- 解答方法: 4肢択一のマークシート方式
- 試験時間は2時間20分
です。
試験時間は2時間20分とで第二種電気工事士(以下、二種電工)の2時間と比べて20分長いです。
こちらも二種電工と同じように、ガチ勉すれば見直し込みで1時間で退出できます。
本試験の特徴としては
- 暗記問題が約8割、計算問題が約2割出題
- 過去問題のコピーや類似問題が多い
となっています。
合格する為に
これらの情報から
- 50問中30問以上取れば合格
- 極論として5割ていどしか理解してなくても、残りは運で合格できることも
- 過去問を何周もやって分からない所をつぶしていけば必ず合格できる
ということが分かります。
合格すると
筆記試験に合格すると2次試験である技能試験に進めます。
実施されるのは筆記試験から約2か月後です。
合格発表まで待っていると、技能試験まで1ヶ月ほどしかありません。
自己採点してあるていどの手応えがあったら、筆記試験後すぐに技能試験の練習に取り掛かりましょう。
技能試験で合格すれば電気工事士試験に合格となります。
技能試験に一度落ちたとしても翌年まで筆記試験は免除されます。
二種電工との違い
低圧と高圧
ちなみにですが、二種電工との違いを書いておきます。
二種電工は低圧(交流で600V以下)の分電盤や施工の問題があります。
一種電工では取り扱い電圧が低圧だけでなく、6600ボルトなどの高圧電気(交流600V超え)も含みます。
電柱の高圧線からの引き込みから高圧受変電設備、保護機器と二種電工と比べて後半の問題がガラッと変わってきます。
合格率
一種電工の筆記試験について、過去10年間平均で合格率が46.21%です。
二種電工の筆記試験は合格率が過去10年間平均で58.72%と、一種電工の方が合格率だけ見ると低いです。
数字だけ見れば一種電工の方が難しそうに見えます。

合格作戦
最新2021年の午前と午後の問題を確認しました。
構成として、計算問題が全体の 20~28%です。
内訳として、電験三種の練習問題に出てきそうなものが
- 理論: 12%
- 電力: 4~6%
- 機械: 2~6%
- 法規: 0~6%
です。 残りの 72~80%については
- 理論の論説: 0~4%
- 電力または機械の論説: 10~16%
- 法規論説: 8%
- 器具・配線に関する問題: 8~14%
- 高圧受電設備に関する問題: 22%
- 配線図に関する問題: 20%
となっています。

電験三種の電力と法規、電力と機械で「かぶっている」ところもあるので数値は多少増減します。
高圧受電設備と配線図に関する問題は電験三種の法規科目の出題範囲でもあります。
なので、法規の試験範囲をしっかり学習していれば、そこそこ得点源になります。

得意分野によりタイプは3択
合格するためには得意分野によって大まかに
- 暗記型: 暗記で8割以上取って計算を捨てるか
- 計算型: 計算問題で8割以上取って残りを暗記で補うか
- 両方型: どちらも6割以上取るか
の3タイプになるでしょう。
管理人は先に電験三種を学習しており予備知識があったので、3番の両方型でいきました。
ぶっちゃけマークシートなので猛勉強すれば、計算が全くダメでも1の暗記型でも少しの運が合わされば何とか合格できます。
ですが、これから一種電工を1から勉強しようとしている人にとっても、2の計算型か3の両方型をおススメします。
理由としては計算問題のほうが器具や論説などの問題より再現性、似たような問題が出題される傾向が高いからです。

おすすめテキスト
管理人が学科試験用に使用していたテキストはこれ1冊だけです。
2編構成で筆記試験の要点が整理された第1編と10年分過去問の第2編となります。
予備知識があったのもありますが、解説部分も非常に分かりやすかったです。
計算問題についても電験学習を順調に進めている人であれば、解説はすんなり理解できるでしょう。
B5サイズと問題集としては大きめなので、文字も見やすいです。
正直、学科試験は5年分ほどの勉強で合格できると思いますが、
- 過去問のコピーや類似問題が多い
- もし落ちたら、また受け直す費用や手間が発生
- 受験する年度で難易度が急に上がるかも
を考えると10年分くらいやっておいた方がベターです。
どの過去問でもそうですが、1周目は時間が掛かります。
ですが、当然として段々とスピードは早くなります。
それに学習スピードがノッてくると10年分も気にならなくなります。
管理人は、この本を利用して90点以上は取れました。
それ以上の年数の過去問もありますが、15年とかで学習を分散させるなら5年分を完璧にした方が良いです。

これから、さらに難化傾向になる可能性もあります。
時間に余裕があれば10年分の過去問までこなしておけばベターでしょう。
ギリギリで落ちて試験を翌年に受け直すなら、多少はやり過ぎるくらいでちょうど良いです。
技能試験の準備は早めに
目安として過去問を全体的に7~8割以上解けるようになってきたら、問題演習はそこそこに技能試験の準備をしていきましょう。
筆記試験後だと工具や配線器具が売り切れることもあります。
あるていど筆記試験の手応えを感じ始めたら、早めの購入をおススメします。
技能試験
試験の情報
試験日
筆記試験は毎年12月上旬~中旬にあります。
そして、技能試験は筆記試験の約2ヶ月後に開催されます。
令和4年度の試験について
技能試験
12月11日(日)
となっています。
試験時間
試験時間は60分間です。
二種電工は40分なので、比べると一種は20分長くなります。

あとは問題にもよると思いますが、配線加工に手間ひまが掛かる問題だと厳しい闘いになります。

組み立てる器具が増えてくるので、当然ですが施工がよりゴチャゴチャしてきます。
なので、二種電工に比べて作業が多くなり混乱しやすくなります。
それに、施工条件が多くなれば読んで理解するのに時間もかかるし神経も使います。
理想としては50~55分で施工完成して、残り時間で欠陥がないかを確認します。
実際に受験した感想としては、第一種の練習を3~4周と結構やり込みましたが時間が5分余れば上出来という感じでした。
候補問題
全部で10問の候補問題が公表されています。
そこから1問が選択されて出題されます。
なので試験当日まで、どの候補問題が出るかは分かりません。

二種より問題数が少ないから楽勝で覚えれそうじゃない?
それに試験問題が候補問題とまったく同じではないこともありますよ。

候補問題がそのまま出ることもあります。
ですが、たまに配線が変わったり、器具の位置が入れ替わることもあります。
特に一種はその傾向が強いように見受けられます。
なので、候補問題と丸っぽ同じと思ってると大抵やらかします。

使用した工具、電線・器具
二種からの工具
工具は二種電工で大活躍したホーザン(HOZAN)の工具セットのみを使いました。
DK-28(当時品番はDK-18)は電気工事士の技能試験用に特化した工具なのでおススメです。
工具はDK-28だけで、買い足しはしませんでした。
今考えるとこれが良くなかったです。
管理人のやっちゃった談はこちらに記載しています。
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電気工事初心者のための第一種電気工事士 技能試験の基本情報と対策
買えばよかった工具
これら2点の工具は一種電工用に使いこなせておけば良かったと反省しています。
- KIP専用のケーブルカッター
- CVVケーブル用のストリッパ
高圧用の太いKIP線の切断は電工ペンチでやっていました。
けっこう力が要りますが、切断できないことはありません。
ですが、刃が欠けるとペンチの切れ味が悪くなるので、最初からケーブルカッターを使うべきでした。
また、KIP線用の専用ストリッパはなくても、DK-28に入っているVVFストリッパ(P-958)と電工ペンチを使えば簡単に被覆を剥けることが後々分かりました。
次に、CVVケーブルの被覆は電工ナイフでは剝きにくいです。
なので、CVVケーブル用のストリッパは買い足すべきでした。
こういった1つ1つの加工のタイムロスが積み重なっていったのが、試験時間がどんどん無くなっていった原因でした。

器具・配線
二種電工の器具や配線は、ほとんどそのまま使えます。
一種専用の器具やケーブルが必要になってくるので、それだけ買い足しました。
二種からアップグレード
二種電工受験時にジェイメディアネットで器具・配線セット練習2回分を購入しました。
VVF、VVRなどのケーブルはケチケチ使っていたので、1.5回分以上余っていました。
なので、二種を購入した人用の「一種の追加器具」みたいなセットと必要なケーブルをバラで購入します。
ただし、調べましたが追加セットはジェイメディアネットで今では売っていません。

一通り、探したところモズシリーズでありました。
ただし、一種用のケーブルは付属していないのでバラで買う必要があります。
セット購入もアリ
バラでもそこそこ金額がいくのと慣れない試験でどれを買うか迷ったりします。
それに新型コロナや世界情勢の影響でケーブルや端子台の欠品も見られます。
メーカーに確認したところ、今後もバラではなくセット品を優先して在庫をそろえていくようです。
迷っている時間は練習に使いたいですし、器具・電線が売り切れる前に「練習1回セット」などでまず押さえておくのも手です。

電工動画
HOZANのサイトが解説が丁寧で良い印象を受けました。
候補問題もすべてあるので、これで十分でしょう。
買っとけば良かったもの
二種電工では配線チェッカーなどの補助器具は追加購入しました。
ですが、一種では特に新規で入手はしていません。
ただ、買っといたら楽だったかもと思うのが1つだけあります。
それは配線圧着に使える「合格クリップ」です。
さきほどの中リングスリーブの圧着は慣れないと難しいですし、管理人は実際に試験でやらかしました。
中スリーブの圧着が苦手な人は試してみるべきでしょう。

まとめ
第一種電気工事士に合格するには
- 学科対策は何周もして分からない所をつぶす
- 技能試験は慣れない器具配線で何度も練習しながら、不安要素やタイムロスをつぶしていく
と、これが一番効果が高いです。
十分に準備して確実に合格しましょう。