
単語をイメージと流れで覚えていきましょう。

前回の記事で『キーワードで覚える!電験2種二次論説問題』の初版と改定新版の違いを比較しました。
この書を読んでいて色々と伝えたいことが出てきたので記事にします。
今回は本書の特長と構成を詳しくご説明すると共に、管理人が実際に使ってた論説問題の覚え方をご紹介します。
この記事を読んで欲しい人
- 電験二種に挑戦する人
- 論説問題で得点を取りたい人
- 「キーワード」で効率よく論説学習を進めたい人
- 暗記が苦手な人
目次
特長
この本の特長は
- 実際の過去問
- 電験1種も含む
- テーマ別
- 年度が記載
- 1次試験でも活用できる
となっています。
実際の過去問
過去の電験二種 二次試験で出た問題が記載されています。
改定新版で確認できたもので1966年(昭和41年)~2020年(令和2年)までと55年もの範囲の問題があります。
55年全ての問題が載っているわけではなく、昔の口述試験を含む代表的なものをピックアップしてます。
電験1種も含む
さらに電験1種で出題された問題も記載されています。
と、言っても1種の全ての過去問が載っているわけではなく、一部のオーソドックスな問題のみです。
問題数としてはかなり限定的で2種に比べたら圧倒的に少ないです。
ただし、1種からの過去問が2種の2次試験で出る可能性はあります。
2種の過去問しかやっていない他の受験生に対しては大きな差が付けれるのではないでしょうか。
特に1種の計算問題は体得するのに時間が掛かりますが、論説問題は知っていればあるていど解けます。

テーマ別
問題集が分野別となっているので、発電→変電→送配電と流れで覚えることができます。
それにより、理解できたか不安なところや苦手な分野については集中的に強化することができます。
年度が記載
出題年度が問題ごとに記載されています。
なので、「そろそろ出そうだな」とか「去年出たから、これは省略しても大丈夫そうかな」の目安になります。
なぜか年度の記載がない問題もあります。

1次試験でも活用可能
二次試験用ですが、なんと一次試験でもかなり使えます。
管理人は電験二種の初年度で理論と機械科目を落としました。
これを読み込むことによって、あやふやだった4機の仕組みや制御方法などの知識の穴を埋めていきます。
おかげで2年目の機械は72点(80.0%)でパスしました。
1次試験で機械や電力科目残しの場合はこの本を使う事をおススメします。
構成
まず着眼点
問題文の次に「着眼点」という概要があります。
現象の流れや因果関係、押さえるべきポイント、装置の仕組みなどを大まかに説明します。
全体像をつかむことにより、問題の要点をとらえやすくなります。
覚えるべきキーワード
着眼点の後に覚えるキーワードが並びます。
キーワードと言いながら長いキーワード、つまり文章もあります。
はっきり言ってすべて覚える必要はありません。
大事なのは問われたことに対して最小限の単語が頭に浮かんでくれば十分です。
詳しい説明
キーワードの後に模範解答があります。
最初見たときに「長っ!!こんな長文を試験で書かなきゃいけないの!?」ってビックリするでしょう。
多いものだと4ページに渡って説明している解説もあります。
最初は理解を深めるために読むべきですが、解説のすべてを覚える必要はありません。

それに本番で模範解答のように書いたら時間がいくらあっても足りません。
1周目はボンヤリとでも全体像がつかめれば上出来です。
理解を深める図
たまーにですが図解があり、理解する手助けをしてくれます。
例えばですがボイラーは
- 自然循環ボイラー
- 強制循環ボイラー
- 貫流ボイラー
の3種類があります。
図を見れば、どれに汽水ドラムがないとか、水(蒸気)の流れがどうだとか、節炭器がどういうふうに付いているかなどが一目で分かります。
ただ、すべての問題に図解があるわけではありません。
なので、分かりにくいところはYouTubeなどの動画で補足すればなおバッチリでしょう。
使い方
管理人の方法
私が実際に使っていた覚え方をご紹介します。
- キーワードを覚える
- 全体の流れをイメージ
- 覚えたキーワードを文章化
- 抜けているキーワードを補充
1. キーワードを覚える
文字通り「単語(キーワード)」を覚えます。
当然、すべて覚えるのはムリです。
あるていど覚えたとしても忘却曲線がある限り、日が経てば人間は段々と忘れていきます。
単語をいくつか忘れても問題はありません。
2. 全体の流れをイメージ
頭の中に問題の内容をイメージします。
解説を読みながら現象を頭の中で流れとして理解するようにしていました。
ここが一番大事なところです。
極論、単語をすべて忘れてしまったとしても、仕組みや現象が流れでイメージできていれば解答用紙に何かしら書けます。
3. 覚えたキーワードを文章化
最初は難しい
暗記したキーワードを使ってノートでも裏紙でも良いので文章にしていきます。
最初は1行くらいしか書けなかったり、単語もすべて思い出せなかったりします。
でも、それでも問題ありません!
シンプル イズ ベスト
間違っても良いので相手に伝わる説明文を心がけましょう。
試験では解答用紙にビッチリと文章を書いても、質問に関係ないことだと減点されます。
極端ですが1行だろうと幼稚な言葉だろうと、相手に伝わる文章であれば採点官としてはその方が好印象です。
『問題の意図に対して、分かりやすく相手に伝える』これに尽きます。
「200字程度で書け」と求められていれば150~200字がベターですが、そのレベルは試験日に到達していれば良いのです。
練習では『簡潔に分かりやすく』書くようにしましょう。

もし時間がなければイメージしながらキーワードだけ書くのもアリですね。
浅く広くを心がけて、試験までに少しでも多くの問題に触れましょう。
4.抜けているキーワードを補充
解答を見ると自分が書いた文章に足りない単語があるのが分かります。
「あ、そうだったのか!」と思うことで脳裏に焼き付きます。
この1~4のサイクルを回すだけです。
文章が書けるようになってきたら、少しずつその問題に当たる時間を空けていきましょう。
実験心理学では覚えることは期間を置けば置くほど、忘れた頃に取り組めば深く脳に刻み込まれます。
例題
例えばですが、水力発電のキャビテーションの問題にて以下の単語を覚えておきます。
〈原因と影響〉
- 空洞部分
- 飽和蒸気圧
- 微細な気泡
- 壊食
- 効率・出力の低下
- 振動・騒音
〈対策〉
- 比速度
- 吸出し高さ
- 材料
- 平滑形状
あとは単語を使いながら、イメージしたものを文章にしていきます。
原因と影響は簡単に書くと
空洞部分の圧力が飽和蒸気圧以下になると沸騰して微細な気泡となる。
(高い山では圧力が低いので例えば70℃でも水が沸騰するイメージです)
↓
その微細な泡が圧力の高い所でつぶれて衝撃波となる。
↓
衝撃波の繰り返しが水車の金属部分に壊食(浸食)を引き起こす。
↓
壊食が水車の効率・出力低下や振動・騒音の原因となる。
です。
現象として
- 配管に水が流れる
- 空洞の蒸発による泡の発生
- 泡がつぶれる
- 壊食
- 水車の能力低下、異常現象
という流れが頭の中で出来上がります。
たとえ「飽和蒸気圧」といった単語が抜けたしても頭の中でフローが出来ていれば、一連の流れを文章にできるようになります。
対策としてはキーワードを思い出しながら
- 比速度を遅くする
- 吸出管の吸出し高さを低くする
- 材料を耐衝撃のものにする
- バケットやランナを平滑形状にする
と箇条書きで書ければ十分です。
欲を言えば、これら項目の詳細を補足できれば完璧です。
慣れないうちは練習の段階であれば抜けているキーワードがポロポロと出てくると思います。

そこで「あ、そうだった!」と思い返すことでさらに覚えやすくなります。
そうやって少しずつキーワードの穴を埋めて、イメージと密接に結び付けていくのが大事です。


減点はされますが、キーワードが書けてれば少なからず部分点はもらえるでしょう。
でも、水や水車の性質を分かっていれば
「水の流速が早いと水車の回転速度は上がる」ことと「比速度∝回転速度」なので比速度を下げる。
水は高低差があると圧力差を生じる→吸出管の高さを高くしすぎない。
と、いうイメージまでつながれば応用ができていると言えます。
ちなみに比速度の式はこちらです。
$$Ns=\frac{ N×\sqrt{P}}{H^\frac{ 5}{4}} [min^-1]$$
あとは、水車の金属を頑丈な素材にする、衝撃を受け流す形状にする。
と、いったところです。
まとめ
『キーワードで覚える!電験2種二次論説問題』の私の使い方をご紹介しました。
このやり方で満点はもらえないでしょうけど、部分点はかなりもらえるでしょう。
おさらいですが
覚えるフロー
- 単語を覚える
- 全体の動きをイメージ
- なるべく短い文章でアウトプット
- 抜けを確認・補充
やることは、これだけです。
単にキーワードだけ覚えると暗記ゲームになりますが、フローで覚えればキーワードも頭に染み込みやすくなります。
YouTubeなどの動画も併せて活用すれば、さらに吸収が加速するでしょう。